3度目の北海道ツーリング。
礼文島での愛とロマンの8時間。

7月29日 最北のバイクショップの世話になる
(礼文島→稚内→宗谷岬→網走)

せわしないが、早起きできたし天気もいいので朝一番のフェリーに乗ることにした。

ヘルパーさん達の「遠い世界」の歌の見送りを背に、何度も何度も振り返りつつ、「見返り坂」を登ってYHを去る。
来た時はおかしなYHだなと思っていたのに、今では「いってらっしゃーい」の声に「いってきまーす」と思い切り返事をしている。
たった2泊でこんなに旅立ちがせつないものか。

と、駐車場で走り出そうとしたらヘルメットをYHに忘れたことに気づき、こそこそと坂を下りてとりにもどった。
「おかえりなさい」と言われてちょっと恥ずかしい。

さて今度こそ走り出そうとしたらチェーンが弛みすぎて、ガランガランと嫌な音をたてる。
サロベツ原野にいた時からうすうす気づいていたが、嫌な感じ。
止まって様子を見て再び発進しようとしたが、今度はセルがうんともすんとも言わない。
冷や汗。
「落ち着いて落ち着いて」と自分に向かってつぶやき、スタンドを立てて、もう一度セルを押すとエンジンは普通にかかった。
とにかくチェーンが気になるので少し引いてから再び走り出した。
音はさっきよりひどくなってしまった。
泣きたい気持ちでフェリー乗り場へ直行した。
スリーナイン号が送ってくれる荷物を港で受け取ったら、少し島を走ろうと思っていたのにそれどころではない。
運賃7000円が高くついてしまった。

稚内のバイク屋の場所を教えてもらって、フェリーに乗り込む。
甲板に出ると、YHのヘルパーさん達が裸足になって、見送りの歌を歌い踊り出した。
甲板の上でもYHに泊まっていた人達が一緒に歌い踊る。
「いってきまーす」「また来るよー」大声で叫んだ。
見えなくなるまでずっとずっと見送りの踊りは続いていた。
また来るよ。

見送りのテーマ曲「遠い世界」はその後私のツーリング中のテーマソングになり、よくひとりヘルメットの中で歌ったものだ。

稚内に着いたら、そのまま最北のバイクショップ「フジタ」へ。
ひなびた海辺のこんなところにと思うような場所だが、ミシュランののぼりがただ者ではない雰囲気。

チェーンは結局礼文で引いた時の張り方がまずかっただけだった。
チェーンがのびているのは前からわかっていたし、油をさせばいいのもわかっていたのに、私がパニックになっていい加減なことをしたからだ。
反省。

チェーンは別にしても、リヤブレーキパッドがなくなっているのを店のおじさんに指摘され、さらに反省。
そんなことにも気づかずオートバイを痛めつけ走らせていた自分にショックを受けた。
だいたい突発的に旅を思いついてそのまま出てきたものだから、点検なんてまるでしてないのだ。
反省するしかない。
でも走るしかない。

セルはポイントのそうじをしてもらって直ったように見えたが、走り出してすぐ直っていないことに気づいた。
サイドスタンドをかけてハンドルを左に切った状態でないとかからないことがわかった。
おそらく礼文の駐車場で一晩雨に降られて、どこかに水が入ったのだろう。
数日後には嘘のように直ってしまったのだから。

ブレーキパッドを換え、チェーンオイルも買って、記念のキーホルダーをもらって、人間もオートバイも元気になり出発。
快調に走れることがありがたい。

せっかくだから宗谷岬をまわってオホーツク海沿いを走ろう。
走り出すと寒い寒い。
時々見かける道路の電光掲示板はずっと「14°C」のままで、壊れているのかと思いたいが、ほんとにそれぐらい寒い。
すれ違うライダーはみんな雨でもないのにカッパをきている。
私も首にタオルを巻き、Tシャツの上に長袖シャツ、フリース、ジャケット、カッパを着こんだ。
寒いと出てくる持病の肩凝りで左肩がピキピキと痛み始めた。

目指すは今回の旅の2番目の野望、野付半島のトドワラを見に行く。
初めての北海道ツーリングで、尾岱沼のキャンプ場の管理人さんに勧められたのに、先を急ぐあまり見損ねたのがずっと気になっていたのだ。
今走っている道も7年前と同じ道で、なんだかこれまでのツーリングでやり残したことの後始末をつけに来たみたいで進歩がない。

道の続く先は雲が重くたれこめていたが、やはりそのうちに降り始めた。
霧雨よりは視界がいいが、テントを張る時は絶対やんでいてくれ、お願い、お願い、願掛けしながら走る。
いつまでもなかなか止まないものだから、私の走りも止まず、ようやく網走で雨上がり、呼人浦キャンプ場に着いた。

近所の温泉に行こうかと思っていたら、他のキャンパーが鍋に誘ってくれたので、今日はお酒で暖をとって眠ることにした。
このキャンプ場には屋根のついた休憩室があったのでここにみんな集まって鍋を囲んで盛り上がった。
みんなキャンパーネームを持っているのでうらやましがったら「桃岩」という名前をいただいてしまった。
もちろん桃岩荘の桃岩だ。

 

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