7月27日 礼文島へ渡る (小樽→稚内→礼文島)
4時過ぎ、小樽に上陸。早朝なのに長袖のシャツでは少し暑い。
トクナガさん、タケウチさんとまずは小樽運河を見に行く。 トクナガさんによると、ここの橋の「小樽運河」と書かれたプレートの「運」を触ってからいつも出発するという。 旅の安全を祈って私も触る。
ここで2人とは別れ、いよいよ北に向かって走り出す。
海沿いのこの道は、7年前初めての北海道ツーリングで走り出した、同じ道だ。 その時は勢い余って1日目だけで700kmも走って、サロマ湖まで行ってしまったっけ。
思い出にふける間もなく、苫枚あたりで霧雨が出始め、気温も下がってきた。 以後稚内までずっと降り続ける。 途中のサロベツ原野はほとんど霧しか見えない。 晴れていても人気のない荒涼とした湿原が、霧雨でいっそう寂しさを増す。
サロベツ原生花園を歩いてみた。 ぬれねずみのしょんぼりした気分でとぼとぼ歩く。 もう花はほとんど終わっていて、薄紫のタチギボウシとノリウツギだけがひっそり咲いていた。
霧の中の湿原は人を寄せつけない静けさ。 私の心もしんと静かになり孤独をじわじわと味わう。 寂しいというよりむしろ孤独の自由さが楽しい。
気持ちも落ち着いて再び走り始める。 ノシャップ岬へ。 つい7年前と比べてしまう。 以前は寂れた最果ての小さな岬といった雰囲気が好きだったのだが、前はプレハブだった食堂は今やけばけばしいオレンジ色になり、他にも汚い食堂が乱立していて、人間の欲深さを感じる。 なんてちょっと深刻な気分になりすぎか。 でも結局汚い食堂で2500円のウニ丼を食べた私も欲深い。
稚内のフェリー乗り場の前には、1泊1000円でオートバイを預かる車庫があった。 フェリーにバイクを載せると往復で約7000円かかる。 迷ったが、ゼファーは旅の相棒だし、すねることがあるので、島へ連れていくことにした。
15:10発礼文島行き最終便に乗り込み一安心。 これであのまだ見ぬ礼文島に行けてしまうのだ。 船室は芋の子を洗う混雑ぶりで、私はひざをかかえ小さくなりうとうとする。
島に着くと、桃岩荘YHの「スリーナイン号」(1999年に買ったのを記念して命名した車だそうな)が迎えにきていた。 車の後ろについてゆっくりと走る。 港は小さな町で、すぐに緑深い峠道に入った。 標高がぐんぐん上がっていく。 大きな木はなく、背の低い草木が山肌を覆っているようだ。 桃岩荘は島の南の桃岩、猫岩といった奇岩が展望できる崖上の絶景の場所にあった。 元は鰊番屋だという。
玄関を開けると、「おかえりなさーい」と太鼓を叩いてにぎやかな大歓迎。 おもしろいYHで、なんと日本時間より30分早い時差があるそうで、笑ってしまう。 夜のミーティングも歌って踊ってライブのような盛り上がりで、圧倒された。 これが噂のYHか。 気がつけば輪の中に入っている自分がいた。 |